Hiroshima University
Graduate School of Integrated
Sciences for Life
Research
本研究室では
「微生物を理解することで食の安全・発展に貢献すること」
を理念に研究を行っており、
1.食中毒菌、2.薬剤耐性菌、3.微生物細菌叢
の3本柱で研究を展開している。
1. 食中毒菌に関する研究
(カンピロバクター、サルモネラ、腸管出血性大腸菌、リステリア、
セレウス菌等の食中毒菌の分子疫学的および基礎研究)
2. 薬剤耐性菌に関する研究
(プラスミド性薬剤耐性菌に関する分子疫学的および基礎研究、
ヒト薬剤耐性菌保菌および除菌に関する研究)
3. 微生物細菌叢に関する研究
(環境、生産現場における微生物細菌叢および
食品喫食による腸内細菌叢に関する研究)
本研究室ではヒト、食品、環境を対象に、食中毒菌、薬剤耐性菌、微生物細菌叢に関して研究を行っている。
1.食中毒菌に関する研究
・食中毒菌の分子疫学的調査研究
・食中毒菌の侵入性および毒素産生に関する研究
(in vitroもしくはin vivo)
食中毒菌の制御は重要な課題です。本研究では食品から食中毒菌を分離し、食中毒菌の性状を解析する分子疫学的調査研究。さらに、食中毒菌および食中毒菌の毒素を使って、菌および毒素の腸管侵入性やバリア破壊を動物細胞(in vitro)およびマウス(in vivo)モデルを用いて評価を行ったりします。
走査型電子顕微鏡による連鎖球菌のCaco-2細胞への侵入
共焦点レーザー顕微鏡による連鎖球菌感染時のCaco-2細胞上皮における状態
2.薬剤耐性菌に関する研究
・薬剤耐性菌の分子疫学的調査研究
・ヒト定着性薬剤耐性菌に関する研究
・薬剤耐性菌保菌マウスの作製および除菌法の開発
2011年に発表されたレポートでは2050年には薬剤耐性菌による死者数がガンを越えてトップになると報告されており、薬剤耐性問題は重要な課題です。本研究では、食品およびヒトからプラスミド性薬剤耐性耐性菌を分離し、薬剤耐性能やゲノム解析によって遺伝的特徴を明らかにする分子疫学的調査研究。また、途上国では健常者の多くが薬剤耐性菌を保菌し定着しています。そこでヒトに定着する薬剤耐性菌の特徴を明らかとする研究。さらに、マウスを用いて、薬剤耐性菌保菌マウスの作製および除菌法の確立を行い、薬剤耐性菌防除に役立てる。
本研究は2013年からSATREPSプロジェクトでベトナムおよび地方衛生研究所と共同研究しており、現在は国際共同研究強化プロジェクトで研究を行っている。
詳細情報はこちら→ベトナムSATREPS
発光遺伝子を組み込んだ薬剤耐性大腸菌
(ESBL産生大腸菌)
→
ESBL産生大腸菌(TB19)接種による発光大腸菌(X14)への影響( in vivo imaging)
輸入水産食品から分離された大腸菌が保有するカルバペネム耐性遺伝子NDM-1をコードした薬剤耐性プラスミド(pEC0102-4P-1)
3.微生物細菌叢
・食品喫食による腸内細菌叢への影響
・フグ毒と腸内細菌叢に関する研究
近年のゲノム技術の進歩でメタゲノム解析によって、細菌の構成(細菌叢)がわかるようになってきました。コーヒーやワサビ等の抗菌作用を含む飲食品の喫食による腸内細菌叢への影響、また、河川、海、降雨などの水環境における細菌叢の解明。さらに、フグ毒の産生は腸内細菌叢との関係性が疑われており、フグ毒産生菌を腸内細菌叢解析によってスクリーニングし、見つけ出す。
Pie chart 解析
Heat map 解析
ベトナムの養殖池および河川における細菌叢メタゲノム解析結果
排水エリア(Ri-E)において、著しく細菌叢の多様性が減少している。